ノルウェー学術界における「ダイバーシティ」の脱構築[IGI国際セミナー(SIP・NTNUシリーズ4)]
開催概要
ダイバーシティ社会として皆さんが思い浮かべる社会は、どのような社会でしょうか?ダイバーシティ(多様性)というのは、抽象的な概念です。誰ひとり取り残すことなく包摂するという理想はあっても、具体的な施策の立案、実施に際しては、対象になっている人が限定されることもあるでしょう。地域、職場、学校など、どの社会空間のダイバーシティについて考えるかで、だれが含まれ、だれが含まれないかが異なるかもしれません。
本セミナーでは、ノルウェーの大学に焦点を当て、ダイバーシティの定義について考察します。
日時 | 2024年11月6日(水曜日)9時30分~10時30分 |
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開催方式 | オンライン(Zoomミーティング) |
研究報告 | マルティヌ・スレッテン(ノルウェー科学技術大学人文学部学際文化研究科博士課程院生) 「ノルウェー学術界における「ダイバーシティ」の脱構築」 Martine Sletten, PhD Candidate, Department of Interdisciplinary Studies of Culture, Faculty of Humanities, NTNU “Deconstructing “Diversity” in Norwegian Academia” |
対象 | 一般公開 (D&I、学術界のダイバーシティ、社会的カテゴリー、日本とノルウェーの国際比較、ジェンダード・イノベーションに関心のある方) |
言語 | 英語・日本語(逐次通訳あり) |
参加申込 | 事前申込制(締切:セミナー終了時) お申込みはこちらのリンク、もしくはQRコードからお願いいたします。 |
主催 | |
問合先 | お茶の水女子大学SIP事業事務局 ocha-sip3@cc.ocha.ac.jp |
発表要旨
ノルウェー学術界における「ダイバーシティ」の脱構築
本発表では、ノルウェーの大学の工学部におけるダイバーシティに関する進行中の実証研究を紹介します。ジェンダー平等はノルウェーの学術界では長年にわたり取り組まれており、ダイバーシティは最近特に注目されています。しかし、概念としての「ダイバーシティ」は、明確な定義がされないまま、議論が進められています。大学の教職員を対象としたインタビュー調査によれば、「ダイバーシティ(多様性)」として認識されている社会的カテゴリーは限られており、その他の違いが包摂と排除の経験を形作っている可能性があります。
本発表では、「ダイバーシティ」の脱構築に焦点をあて、インタビュー参加者が認識する「ダイバーシティ」とは何かに着目し、ノルウェーの学術界において誰がダイバーシティ・アンド・インクルージョン(D&I)の対象となり、誰が対象外となっているのかを議論します。
スピーカー紹介
マルティヌ・スレッテン(ノルウェー科学技術大学人文学部学際文化研究科博士課程院生)
ノルウェー科学技術大学(NTNU)博士後期課程。博士論文の研究テーマは、ノルウェーの学術界における多様性と包摂で、研究目的は、学術界における多様で包括的な職場の作り方をよりよく理解することにある。研究対象であるノルウェーの大学の工学部の特性を重視しつつ、インタビュー調査とフィールドワークを行った。理論的枠組みは、フェミニスト組織研究とクィア理論を活用し、どのような違いが作用しているのかを調査した。現在は、この特定の文脈におけるダイバーシティ(多様性)の意味を脱構築する分析を進めている。